古酒の隠れ家

このサイトは古酒の創作活動などをまとめたサイトです
※一部、一次創作同人活動などを含みますので
苦手なかたはご注意ください

新任大公の平穏な日常

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【第一章 一年目の日常】
プロローグ.恐ろしい場面を目撃してしまいました
 知っていたら、扉を開けたりなんてしなかった。
 そもそも、そのことを知っていたら、その部屋に近づきさえしなかった。
 けれど、俺は知らなかったのだから仕方がない。
 彼と彼女が、二人きりでその部屋にいたことをなんて。
 そりゃあ確かに、普通なら俺の来訪を告げるはずの儀仗兵が無言だった……いや、そもそもその部屋の前にはいなかったのも、おかしいと言えばおかしい。
 だからって、それまでに山ほどいる衛兵たちの誰か一人でも、注意を促してくれていたら!
 魔王様はただいま密会中ですとか、言って止めてくれていたら!
 そうすれば、俺はこんな気まずい思いをしなくてもよかったのだ。

 誰かわかってほしい
 部下であるはずの女性魔族に跪き
 その上足蹴にされて恍惚としている
 そんな魔王サマの姿を目撃してしまった
 この俺の気まずさを!

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